今回は、前回紹介した「ハセガワ 1/12 ヤマハ TZR250(1KT) ファラウェイブルー」の番外編として「Mach3 Models」のガレージキット「1/12 フルフェイスヘルメット」からソノート・ヤマハカラーのヘルメットの作成と、自作のタンクバックやジオラマ風飾り台の作成を紹介します。
タンクバッグもTZR250作成依頼主が当時使用していたものを、写真を元に再現を試みました。
タンクバッグのサイド部分はタンクと密着させるためにラップで保護したタンクに薄く伸ばしたエポキシパテを貼り付けました。
エポキシパテの硬化後にタンクバッグ本体を作ります。発泡樹脂を芯にして石粉粘土で造形しました。
タンクバッグは取り外しが可能なように、実物同様にマグネットで固定するようにしました。燃料タンクの内部に金属ワッシャーを取り付けたのはそのためでした。タンクバッグ固定用のマグネットはホームセンターで購入した小型のネオジム磁石を使用しました。
タンクバッグの造形中の状態です。
ファスナーのリング、ストラップの留め具を真鍮線で作りました。
タンクバッグの上部は地図を挿入できるようになっています。透明カバーの部分は適当な製品梱包用のブリックパックから切り出しました。ローソクの火で少し炙って柔らかくしてから密着させて形を整えてみました。
google Mapから地図を切り出して、それっぽく印刷してみました。
印刷した地図を挟んで透明カバーを貼り付けて隙間を光硬化パテで埋めています。
透明部分をマスキングして塗装に入ります。
サーフェーサーを塗った状態です。
おおよその塗装を終えた状態です。
近年のバイクはタンクがアルミや樹脂でできているため、マグネットで固定するタイプのタンクバッグは少なくなったようです。スマホナビの普及も影響してか、このような地図を固定できるタイプのタンクバックもあまり見かけなくなった気がします。
リアシートに乗せる荷物も当時の写真を参考に、それっぽく作ってみました。発泡ウレタンスポンジを芯にして石粉粘土で造形します。
参考にした写真では袋状のバッグをネットで固定していました。形はかなり適当なのですが、ちょっと丸すぎた感じです。中は衣類が詰まっていることにします。(^^;
細いゴム紐と裁縫用の糸で固定ネットを作りました。ゴム紐は輪の状態にしてリアシートにくぐらせて固定することにしました。実物のネットはフックで車体に固定してるのですが、強度的にフックを作るのは難しそうなのでこのような方法に落ち着きました。
80年代後半くらいからだと思うのですが、北海道のガソリンスタンド「ホクレンSS」ではライダー顧客に「ホクレンフラッグ」を配布していました。当時、後部荷物にホクレンフラッグをつけているバイクを良く見かけました。現在でもホクレンSSでは一つ¥150で購入できるようです。これも今回、再現を試みました。
今回作成したフラッグのデザインは私のオリジナルなのですが、こんな雰囲気のフラッグでした。ホクレンフラッグは毎年異なるデザインが数種類作られていたようです。ホクレンSSは北海道のいたるところにあるのですが、配布しているフラッグの色は地域によって異なっていたようです。
80年代後半のバイクブームの時代、ホクレンフラッグをつけて北海道を走るライダーは非常に多かったと記憶しています。
ヘルメットは「Mach3 Models」のガレージキット「1/12 フルフェイスヘルメット」をベースに、これもTZR250作成依頼主が当時使用していたソノート・ヤマハのカラーリングを再現してみました。
ヘルメットは光造形の3Dプリンタで作成されています。細部まで非常に良く再現されています。キットのモデルとなったヘルメットは、恐らく80年代後半くらいのSHOEIの製品のようです。
ヘルメットのシールドも不要なブリックパックから切り出して作りました。写真左上の黒いパーツの下の部分は、シールドを切り出すための治具になっています。
サーフェーサーを吹いてから3Dプリンタ特有の積層印刷の段差を目立たなくするために、サンドペーパーで少し磨いています。ヘルメットのグラフィックパターンはマスキングテープを貼った上から鉛筆書きでおおよそのパターンを書いてみました。これを元にデカールの画像データを作成します。
デカールのパターンを普通紙に印刷して貼り付けてみて、大きさや位置を確認しました。何度か試行錯誤を繰り返して、パターンを調整していきます。
ベースとなる塗装を行います。マスキングして青の部分と白の部分を塗り分けます。
白部分を塗装した状態です。塗装の厚みによる段差を避けるため白部分の塗装後、青の部分も別途マスキングして塗装しました。
青部分を塗装した状態です。
塗料の乾燥後、2000番のサンドペーパーで磨き、段差を目立たなくしてから更にコンパウンドで磨きました。
インクジェット用の自作デカール用紙を使用して、グラフィックパターンのデカールを作成しました。
ハイキューパーツ 家庭用インクジェットプリンターデカール用紙 A4サイズ プラモデル用デカール INKJ T05WB
PCの画面で見たものと印刷したものでは微妙に色味が異なるため、幾つか色味を調整したパターンを作成して合いそうなものを採用しました。
インクジェット用のデカール用紙の印刷は、乾燥に24時間かける必要があります。更に乾燥後は水に付けたときのインクが溶け出さないように、クリア塗料でコーティングする必要もあります。コーティングの塗装も乾燥時間が不十分だったり、吹付け過ぎるとインクが溶け出してしまいます。写真の下のパターンは塗料が溶け出してしまったものです。
なので、1度失敗すると次に完成するデカールは翌日になってしまいます。試行錯誤の上、なんとか納得できる状態になってきました。
インクジェットプリンタは「顔料インク」のタイプと「染料インク」のタイプがあるのですが、私が使用した染料インクタイプのプリンターはデカール印刷にはあまり向いていないとのことです。顔料インクのプリンターであれば、あまり失敗しなかった可能性がありそうです。
ベースが白色のデカールなので、貼り付けるには周りをきれいに切り取る必要があります。
ストライプの部分は非常に細いため、貼付け時に何度も切れてしまいました。
デカール自体もかなり脆いので貼り付けは非常に神経を使いました。
黄色と水色のストライプはデカールに直接塗料で色を付けて細く切り出しました。曲面へ貼り付ける必要があるため、丸く切り出しています。
細く脆いデカールの貼り付けは、何度も途中で切れたものをつなぎ合わせてなんとか完成させました。あまり真っ直ぐでは無いのですが、私の技術ではこれが限界でした。(^^;
拡大してみると粗が目立ちます。
シールドもピッタリ合いました。
ヘルメットのストラップもリアルに再現されています。
ヘルメットのGSマーク(安全基準適合マーク)とMFJ公認マークも再現してみました。
展示ベースはダイソーの「コレクションアーチ深型」を使いました。北海道の少し荒れたアスファルトの田舎道をイメージして地面を作成しました。
アスファルトの部分はダイソーの「スポンジシート」を使用しました。アスファルトのひび割れをあらかじめ罫書き針などで彫り込んでおきます。道端の草むらもダイソーの「フェイクモスシート スクエア」を切り取って貼り付けました。
更にダイソーの「液体ねんど」を塗っています。
土の地面は土色に塗装した後、これもダイソーの「苦土石灰」をふりかけて土っぽさを出してみました。
草の周りにもダイソーの「ジオラマ情景04草」をふりかけてみました。
草むらにたんぽぽ(っぽいもの)を植えてみます。半紙から葉っぱを作りました。
茎を伸ばしランナーで作って花の部分はスポンジを使ってみました。
花のスポンジは建築模型用のものを画材屋さんで購入しました。
アスファルトの塗装して、たんぽぽ(っぽいもの)を植えた状態です。北海道の道は雪や夏冬の温度差が大きい影響か、荒れたアスファルトの道が多い気がします。
ゲストにシュライヒ(Schleich) のキツネ フィギュアを置いてみました。スケール的にも合っていそうです。
シュライヒ(Schleich) ワイルドライフ キツネ フィギュア
今回ヘルメットのパーツは3Dプリンタで製造されたガレージキットのものを使ってみたのですが、インジェクションキットと変わらないくらいの素晴らしいクオリティでした。3Dプリンタを使用したプラモデル用のアプターパーツには大きな可能性があると感じました。自作デカールはかなり苦労したのですが、染料インクのプリンターは難易度が高く、顔料インクタイプのプリンタが欲しくなりました。1万円を切る価格で買えそうなので、またデカールを作る機会があれば検討したいと思います。
今回は80年代後半から90年代初頭の北海道ツーリングをイメージしたジオラマ風の工作を紹介してみました。これまでジオラマを作ったことはなかったのですが、初めて地面やアスファルトの表現を試みてみました。作成のための情報は殆どネットから得たものですが、ジオラマの材料の大半がダイソーで入手できるものでした。ジオラマ作成の素材入手の敷居も非常に下がったと感じました。
今回の作例は友人からの作成依頼だったのですが、やっと奉納できそうです。まだこれを壊さないように梱包する作業が残っているのですが…。(^^;
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