ファインモールド 1/48 帝国海軍 零式艦上戦闘機 五二型 (三菱製・中期型)
三菱製の零戦五二型(中期型)は、零戦シリーズの中でも性能・生産性・整備性のバランスが取れた機体であり、太平洋戦争後半期において日本海軍の主力戦闘機として広く使用されました。
今回紹介するのはファインモールドの零式艦上戦闘機五二型、通称零戦です。零戦の設計は三菱重工業ですが、多くは中島飛行機で生産されました。本キットは三菱生産型をキット化したもので、中島生産型との微妙な違いを再現しています。ファインモールドからは同時期の2024年12月に中島生産型も発売されました。
組み立て説明書には三菱製零戦の時期毎の変化も説明されており、読み物としても楽しめる内容です。
コックピットのパーツ構成です。細部まで緻密に再現されています。
コックピット内側のフレームも外板と分離したパーツ分割になっています。
個人的にはシートベルトは必須のディテールアップなので、ファインモールドの日本海軍機用シートベルトを使いました。
このキットには4機分入っています。非常に精密なディテールです。
シートベルトを付けた状態です。
コックピットの計器盤はモールドもあるのですが、デカールも付属します。
計器盤を塗装してデカールを貼った状態です。シートベルトも良い感じです。
コックピットは1/48スケールとは思えないほどの情報量です。
コックピット周りの外版は一体成型のパーツになっており、下からコックピットをはめ込みます。
主翼のパーツ構成です。20mm機関銃あたりのパーツが分割されています。
レシプロ戦闘機キットとしては、これまであまり見ないパーツ分割構成で機体が前後に分割されています。この分割は零戦の実機と同様なのだそうです。
主翼の分割パーツは分割部分に溶きパテを流し込んで、乾燥後にはみ出した部分を拭き取っています。これでパーツの一体感が出ます。
尾翼周りのパーツ構成です。
フラップは閉じた状態と開いた状態を、2種類のパーツから選択する事ができます。今回は開いた状態を選択しました。
機体を組み立てた状態です。
零戦五二型に搭載された中島製、栄二一型エンジンのパーツ構成です。エンジンの奥まで再現されています。
エンジンカウルは一体成型のパーツ構成です。
増加燃料タンクのパーツ構成です。
キャノピーのパーツはフレーム部分とアクリルガラス部分とが別パーツになっています。
キャノピーフレームとガラス部分が分割されているので、一体型のパーツ構成に比べてフレームの塗り分けは格段に楽に作業できそうです。但し、キャノピーは閉じた状態に限定されるようです。
キャノピーを開けたい方はフレームとガラスが一体となっているパーツも同梱されているので、これを選択することになります。
今回はキャノピーを開けたいのでガラス一体のパーツを選択しました。キャノピーフレームを塗り分けるためにマスキングを行いました。やっぱりこの作業は面倒ですね。(^^
主脚周りのパーツ構成です。
プロペラ周りのパーツ構成です。
キャノピーを接着してからキャノピー内側の塗装を行って、下地塗装のサーフェーサーを塗装しました。
サーフェーサーを塗装した状態です。細かなリベット表現が素晴らしいです。
エンジンを塗装した状態です。エンジンの造形も素晴らしいです。
パネルラインに沿ってフラットブラックを塗装しています。
パネルラインのフラットブラックを若干残しながら機体色を塗装しています。
このような塗装は経年劣化した感じを表現しやすいと思います。
フラップの内側はマスキングして塗装しています。
機体裏面はダークグレーでスミ入れを行っています。
機体上面はブラックで墨入れしました。
スミ入れ塗料は適度に残した感じで拭き取っています。
主脚を塗装した状態です。
細かなパーツを塗装した状態です。
この状態でデカールを貼ります。
デカールを貼った部分は、リベットのディテールが埋まらないようにマークフィット(スパーハード)で密着させました。デカールを貼った部分もスミ入れを行いました。
塗装ハゲをスポンジにこすりつけたシルバーで塗装します。やはり大戦期は塗装ハゲ重要ですよね(^^
排気口周りのすす汚れはタミヤのウェザリングマスターで塗装しました。
当時の実機写真からも背面もかなり煤汚れが付いているようです。
アンテナ線をモデルカステンのストレッチリギング0.6号で貼ってみました。
以前はアンテナ線には釣り用テグスを使っていました。ストレッチリギングはテグスより引張で伸びるのでテンションの調整が格段にしやすいです。バラした電線で輪っかを作って機体に瞬間接着剤で固定して、それにアンテナ線になるストレッチリギングを通しています。瞬間接着剤用の極細ノズルを短く切って、固定用のリングにしています。
短く切った極細ノズルが丁度アンテナの碍子のようになって良い感じになります。
エンジンカウルは組立説明書でも接着しないように指示されています。プロペラもポリキャップで固定しているので、組み立て後も外してエンジンを鑑賞することができます。
エンジンもプラグワイヤーを再現してディティールアップするもの良さそうです。
客室内部も詳細なディティールが再現されてます。
零戦は様々なバリエーションが有り、太平洋戦争の開始から終了まで活躍しました。この中期型は、初期型に比べてやや重くなった分、運動性能は若干低下したものの、高速性能と火力が向上し、連合軍機との戦闘に対応するためのバランスがとられた設計でした。
零戦のキットは古くから各メーカーから様々なスケールのものが販売されています。おそらく令和になってから新規開発された零戦キットはこれが初めてだと思います。出し尽くされた感のある零戦キットでしたが、キャノピーフレームとガラスを分離したパーツ構成など、斬新な技術が導入されておりプラモデルの新たな可能性を感じさせる内容でした。
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