ハセガワ 1/72 零式艦上戦闘機52型

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岩本哲三氏は日本海軍戦闘機パイロットのなかでもずば抜けた撃墜記録を持つ、まさにトップエースです。日支事変から太平洋戦争終戦まで撃墜数は200機を 越えるといわれています。今回作成した零戦52型は氏がトベラ基地253空で使用していた機体です。氏の著書「零戦撃墜王」によると、本機253-104 号機以前に使用していた253-102号機は撃墜マークである桜のマークは60個にも達し、機の胴体は桜色に染まって見えたと言われています。
今まではほとんど素のままで作成していましたが今回は珍しくいろいろ追加工作してみました。

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基本的なパーツ構成は以前作成した21型とほとんど変わりません。21型と52型の違いはいろいろあるのですが、大きな違いは主翼の長さ(52型は21型より短い)とエンジンカウルの形状でしょう。

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今回はキャノピーを開けたいのでコクピット内部を工作してみました。雑誌などの資料から可能な限りコックピットの内部を再現してみました。壁の計器類はす べてプラ板で作成しました。また、伸ばしランナーでリブ、パイプ等を追加しました。シートは薄く削りこみ、実機同様の穴を開けています。シートベルトは釣 り用の0.2mm厚の鉛板で作成しました。プラ板で照準機を追加しています。レバーなどは一部真鍮線を使っています。

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塗装後、エナメル塗料のフラットブラックで、墨入れを行ない立体感を強調します。鉛板や、真鍮線へ直接塗装すると塗料が剥がれ易いため、予めクレオスのMr.メタルプライマーを塗っておきます。

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コックピット内部を見せるため、キャノピーをあけた状態にします。キャノピーは一体成型のためエッジングソーで切り離しました。割れるのを防ぐためにマス キングテープを貼って切断しています。真ん中のスライドする部分は厚みがあるため、そのままキャノピーを開けた状態にすると実感に乏しくなります。結局そ の部分だけ薄い透明プラ板で自作しました。

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主翼のフラップも切り離し、下げ状態を再現してみることにしました。着陸時はフラップは下がっていることが多いそうです。
フラップ内部のリブは、1.2mm厚のプラ版を立てて接着し、接着が十分硬化した後でヤスリで整形しています。

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フラップの裏側のモールドはプラ板と伸ばしランナーで再現しています。フラップの固定強度を確保するために、0.3mmの真鍮線を差し込んでいます。

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ヘッドレスト?の裏側にもディティールを追加してみました。ループアンテナもキットのものは太すぎて実感に乏しいため、0.5mm真鍮線を曲げてからヤスリで整形し作り直しました。

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キャノピーも21型の工作と同様に予めマスキングしてから接着しています。キャノピーを後で接着する方法も有るのですが、その方法では接着面の精度が悪い と機体とキャノピーの一体感が無く感じてしまうのでいつも塗装前に接着しています。目立つ隙間が有る場合は溶きパテを流し込めば、より一体感が出ます。 キャノピーには塗装の前に予め機体内部色を塗っておきます。

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機体の退色を表現するために予め黒でパネルラインをエアブラシで塗装しています。裏面のグレーは良い感じになりましたが、表の深緑はあまり効果が感じられませんでした。濃い色の塗装は後から退色の表現を書き込んだ方が良いかもしれません。

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今回は、マークや文字以外はほとんど塗装で表現してみました。(キットには日の丸などはデカールが付属しています。)塗装の上のほうが墨入れや汚し、退色 表現が思う存分できるためです。日の丸の赤やや、識別帯の黄色の塗装は、予めベースホワイトを薄く塗っておくと発色が良くなります。日の丸のマスキングは サークルカッターを使っています。中の丸は機体色の深緑を塗装するときのマスキングとして使います。

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エンジンの塗装はつや消し黒を塗ってから、シルバーでドライブラシを行っています。1/72ではエンジンはあまり見えるところではないのですが、単純に黒鉄色を塗るより雰囲気が出ると思います。

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主力フラップ上部の赤いラインの塗装を忘れていたため、後で慌てて塗りました。日の丸同様、ベースホワイト上に赤を塗り、細切りしたマスキングテープを赤 ラインに合わせて貼り付けます。マスキングしたまま機体色である深緑を塗り、そのまま微妙に色調を暗くした深緑をパネルラインに合わせて細く絞ったエアブ ラシで塗り、明るく調整したものをパネル中央に塗って退色を表現していきます。

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零戦の塗装は数多くのバリエーションがありますが、本機の日の丸の周りの暗い部分は、黒または、より深い緑、強い艶消しなど諸説有るようです。今回は黒を少し混ぜて暗くした機体色を塗っています。
また、脚室内部も青竹色が指定されていますが、機体裏面と同等のグレーの場合もあるようです。今回は雑誌等の作例を参考にグレーで塗っています。また、土埃の汚れをパステルを使って表現してみました。

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プロペラの黄色い帯もデカールが付いているのですが、塗装で再現するために予め黄色を塗り、細切りのマスキングテープを貼って、プロペラ色を塗っています。
日本機の特徴である塗装の剥げは、銀を筆塗りで再現しています。実機の写真が無いので加減は想像なのですが、主翼付け根はパイロットや整備員が乗るため、よく剥げているそうです。

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カウルフラップは薄く削りこんでいます。排気管の出口や、20mm機関砲の先端もリュータで穴を開けています。これらの穴の部分はつや消し黒で塗装しています。些細な工作ですが、仕上がりの緻密感はぐっと上がると思います。アンテナ線は伸ばしランナーを張っています。
主脚は0.2mmの糸半田でブレーキパイプを追加しています。脚室の補助カバーの引き込み装置?を0.3mm真鍮線で追加しました。キットの脚室は深さが足りないため、位置は少々いい加減です。(^^;

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途中で他のキットを作成したことあって完成まで3ヶ月以上も掛かってしまいました。実機の資料や他の作例を見ると、いろいろ追加工作を試したくなるのです が、凝りだすといつまで経っても完成しなくなってしまうものです。(モデラー復帰前の私がまさにそんな状態でした。)今回もリベットの表現等、試してみた いこともあったのですが、1/72スケールではこのあたりが無難なところかもしれません。

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