F-4EファントムIIは米国マクドネル・ダグラス社が開発した艦上戦闘機です。F-4Eの日本仕様であるF-4EJは日本の航空自衛隊に1971年から導入されましたが、今年2021年3月に全機退役しました。
今年、航空自衛隊のF-4EJが退役したこともあってか、近年F-4シリーズの新製品キットが多く発売されました。今回はファインモールドの1/72スケールの作例を紹介します。ファインモールドの1/72スケールF-4は、いくつかのラインナップがありますが、今回紹介するのはアメリカ空軍のベトナム戦争時代のものです。
操作パネルのモールドは1/72スケールとしては非常に素晴らしいと思います。操作パネルのデカールを貼りやすいように、モールドを省略したパネルのパーツも付いており、どちらか選択して組み立てることができます。
今回はモールドのあるパネルパーツに、あえてデカールを軟化剤を使用して貼ってみました。デカール軟化剤があれば、このくらいの凹凸のあるパーツにも、きれいにデカールを貼り付けることができます。
エンジンの前部がパーツ化されています。エアダクトもパーツ化されています。
エアインテークとエアダクトのパーツです。
エアダクトと、その周辺パーツは事前に塗装して組み立てています。
エンジンノズルの後方部分は別パーツになっています。この部分は金属色なので塗装後に接着することによってマスキングの手間を省くことができます。
組み立てるとこんな感じです。今回は予め接着して塗装しています。
各パーツの結合部分はときパテを塗ってから、乾燥後にラッカー塗料の溶剤で拭き取っています。
この状態では、十分綺麗に結合されているように見えますが、サーフェーサーを塗装した後、少し段差が気になったので、後にパテで修正しています。
エンジンノズル後方部分のパーツ分割はこんな感じです。
キャノピーのパーツは閉じた状態用に一体化されたパーツが別途、用意されています。キャノピーを閉じた状態で作成したい場合は、このパーツを使えば、接着時のズレを気にせずに組み立てられます。これは結構嬉しい仕様だと思います。
キャノピーは開けた状態で作成することにしました。キャノピーの塗装用にカット済みのマスキングテープを使ってみました。この工程は結構面倒なので、このような製品を使うことは作業の低減にも仕上がりの精度のアップにも良い選択だと思います。
キャノピー前部の写真の部分はクリアブルーを予め塗装します。
マスキングテープを貼った状態です。精度もバッチリで簡単にマスキングができます。
シートも非常に良い出来ですがシートベルトは再現されていません。
シートベルトは、アフターパーツを使ってみました。パーツがとても小さいことと、数が多いので、取り付けはそれなりに面倒です。(^^;
シートベルトのパーツを接着してサーフェーサーを塗装した状態です。出来栄えは苦労が報われるクオリティーです。
シートを塗装した状態です。
エアインテークと胴体部分の分割は少し段差が出てしまったのでパテ埋めしてからサンドペーパーをかけた後、消えたスジボリを掘っています。この部分も細かなモールドがあるのでモールドをマスキングしてからサンドペーパーを掛けています。
再度サーフェーサーを塗った状態です。この部分の段差は、結構目立つので接着をもう少し慎重に行うべきでした。(^^;
ピトー管もアフターパーツを使ってみました。垂直尾翼の部分と機種レドーム部分の2箇所が含まれています。
プラスチックのパーツに比べて格段に精度と強度が上がります。(価格は結構しますが(^^;)
このキットには武装がついていません。
武装もアフターパーツからMk-82 500ポンド通常爆弾を選択しました。
グレーのサーフェーサーを塗装してからパネルラインにフラットブラックをエアブラシで塗っていきました。
パネルラインのフラットブラックが消えない程度に機体色を重ねて塗っていきます。経年劣化による退色を表現しようとする試みです。
機体の迷彩塗装は明るいブラウンから塗っていきました。
塗り終えた色をマスキングして次の色を重ね塗りしていきます。
次に、明るい方のグリーンを同じくパネルラインのフラットブラックを残しつつ重ね塗りしていきます。
濃いグリーンを塗ったことろです。このマスキング作業もかなり手間がかかるので専用にカットされたマスキングテープがほしいと思いました。(^^;
全体の迷彩塗装が完了してから、エンジンノズル周辺の金属色部分もマスキングして塗装します。
この部分も質感の違う金属色で塗り分けます。ノズル周辺部分は焼けた感じをクリアオレンジやクリアグレーを重ね塗りて表現を試みています。
前脚、主脚の格納部分もマスキングして塗装しています。
水平尾翼はパネルごとに金属感が異なるので、これも実機写真を参考に塗り分けました。
大体の塗装が終わった状態です。
F-4は非常に多くのコーションマークが付きます。そのためデカールもすごい数です。(^^;
デカールのシルバリング(デカールが密着していない部分が白っぽく見える現象)を防止するために予め艶有りのクリアを塗装しました。
デカール貼りの作業だけで1週間近くかかりました。(^^;
武装のMk-82通常爆弾もデカールが付きます。
武装のMk-82は、今回18個搭載したので、これもかなり時間のかかる作業でした。(^^;
主脚の扉パーツは、格納庫の側面と一体で整形されています。これは格納庫の側面のディティールも再現できる上に、取付角度もバッチリ決まるので非常に良い工夫だと思いました。
キャノピーのバックミラーもアフターパーツを使いました。
オイル汚れを油絵の具で書き込んでいます。
一部デカールにシルバリングが出てしましました。この修正は難しいので放置です。(^^;
本ブログではこれまでハセガワの1/72スケールF-4EJ、RF-4Eの作例を紹介していましたが、ハセガワのキットから20年程後に発売されているだけあって、かなりの進化を感じるキットでした。細部の表現も抜かりなく、組み立てやすさを考慮した様々な工夫もあって、これから1/72スケールのF-4を作りたい方にはベストな選択だと思います。今回の作例も完成まで1ヶ月ほど時間がかかりました。
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